東洋建設

社員インタビュー
土木/設計担当
山野 貴司 土木事業本部 総合技術研究所 鳴尾研究所 水域環境研究室 主任研究員
2004年入社 工学研究科都市系専攻

自分の研究成果が
一冊の本になった。

子どもの頃から海が好きで、モノづくりに興味のあった私は、学生時代、海岸構造物を対象とした研究を行っていました。その時の研究対象が、大学と共同開発した東洋建設の構造物だったのです。その技術力の高さに目を見張りました。これを契機に、私は東洋建設に入社することを決意しました。
入社後は、護岸工事など、現場経験を積んでいたのですが、入社して2年が経った頃、私に大きな転機が訪れました。国立の研究機関である港湾空港技術研究所への出向。そこから私の研究員人生が始まりました。この国の技術発展のために、東洋建設では以前からその研究所に社員を出向していたのですが、私は新たな研究会の立ち上げメンバーとして特別召集を受けました。任務は、学生の時と同様、海岸構造物の研究。数値シミュレーションやテストを行うなど、学生時代の研究経験を活かすことができ、やりがいを感じていました。何より研究自体が楽しくてしょうがなかったのです。そして、約2年の研究期間を経て、その成果が一冊の本となり出版。マリコン各社が参考とする専門書に、自分の研究結果が掲載されました。この時は嬉しかったですね。

「あったらいいな」を
具現化していく仕事。

出向から戻った私は、東洋建設が世界に誇る鳴尾研究所へ。技術の開発・向上を担う研究員となりました。研究員は、「会社や現場がどんなものを望んでいるか」を吸い上げ、研究テーマを立案し、その実験や開発を進めます。
最初に担当したのは、海の沖合に設置する新たな離岸堤の研究開発です。離岸堤は、押し寄せる波の力を弱め、海岸侵食を防止する構造物。砂浜はもちろん、その陸側の植生や道路、建物も守ります。私は上司とともに、5年かけて、東洋建設オリジナルの有脚式離岸堤「バリアウィンT」の開発に成功しました。脚となる4本の杭が本体部を支え、本体の側面壁に入れた独自形状のスリットが波エネルギーを大幅に低減します。それに伴い、海面上に現れる天端を、わずか50センチに抑えることができました。離岸堤の多くは、海水浴場の沖合に設置されるため、景観を崩さないことも大切なのです。「バリアウィンT」は、静岡県の海で実用化にも成功しました。小さな模型でテストしていたので、設置前の実物を見た時はそのスケールに驚きました。高さ約8m、幅は約20mもあり、それが7つもあったのです。驚いたと同時に、自分の苦労が具現化されたのを見て、感動しました。

わからないことを
解明していく面白さ。

一般的に、砂の海底に構造物を設置すると、その周辺が削れる洗掘という現象が発生します。私は現在、「バリアウィンT」のさらなる耐波安定性の向上とともに、その洗掘対策に取り組んでいます。設置される状況により、予期せぬ現象が発生することもあります。試してみないとわかりません。この仕事は、そんなわからないことを解明していく面白さがあります。そのために、数値シミュレーションを行い、模型をつくって、現象を確かめる。結果を想定して実験を行いますが、その結果は神のみぞ知る領域です。想定通りだった時は、大きな手ごたえを感じますが、予測と反した時も、その原因をつきとめていくのは楽しいものです。そんな実験を繰り返し、一つの解を導き出していきます。出した解は、社内や学会で発表します。そこで評価を得られ、東洋建設の新たな技術として確立した時は研究員冥利に尽きます。
私は今、博士号をとるために大学にも通っています。自分がそこから何ができるのか、自分の可能性を試してみたくなったのです。今の限界を超え、世の中の発展に自分の足跡を残せる日を夢見ています。

ある一日の流れ

8:00 研究所到着
8:30 朝礼 作業内容確認
9:00 水理模型実験準備(模型設計・計測器設置 等)
12:00 昼食
13:00 実験開始(造波・計測 等)
17:00 実験終了
17:30 計測データの整理
21:00 帰宅

主な経歴・担当案件

2004年 入社
関東支店 土木部 工事担当/護岸工事・下水道工事を担当
2005年 関東支店 土木部 工事担当/上下水道工事を担当
2006年 独立行政法人 港湾空港技術研究所(現 国立研究開発法人 港湾空港技術研究所)へ出向
2008年 総合技術研究所 鳴尾研究所 水域環境研究室 研究員/有脚式離岸堤の開発
2014年 総合技術研究所 鳴尾研究所 水域環境研究室 主任研究員/耐波安定性評価と洗掘対策

OFF TIME

愛妻と美味しい料理を食べに行くことが、週末のいちばんの楽しみ。東洋建設一のグルメという声もささやかれているほど。和食、中華、フレンチ、イタリアンなど、ジャンルは問わない。美味しいと話題の店や、有名な老舗店に足を運ぶ。「でも最大のリフレッシュ方法は、寝ることですね。運動や身体を動かすこともあまり好きではないので」と笑顔を見せる。

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