東洋建設

社員インタビュー
建築/研究開発
荒金 直樹 総合技術研究所 美浦研究所 構造研究室 主任研究員
1993年入社 工学研究科 建築学専攻

高層RC造への
第一歩を実現する。

1993年10月、茨城県に東洋建設の未来を築く美浦研究所が誕生しました。その産声とともに、私も研究所の材料研究室に配属となりました。それまではマンションの新築工事に携わっていたのですが、入社からわずか半年で当初から希望していた研究員になることができたのです。最初に担当したのは、高層RC性能証明取得のためのプロジェクトです。当時は、高層のビルやマンションをつくる際、SRC造、つまり鉄骨を入れた鉄筋コンクリートによる建築が一般的でした。RC造は、鉄骨がない分、建設コストを抑えることができますが、当時のコンクリート強度では中低層の建物しかつくることができなかったのです。高層建築物のRC造化は、東洋建設がさらに発展していくためには避けられない道。私は上司とともに実験・研究を重ね、より高強度のコンクリート開発を成功させ、専門機関の性能証明も得ることができました。それからほどなくして、神奈川県にRC造の高層マンションが建設されました。東洋建設が、高層RC造の第一歩を踏み出すことができたのです。

耐震補強という
日本のテーマに挑む。

現在は、構造研究室に移り、立場も研究員から主任研究員となりました。自ら研究テーマの設定から、実験計画の策定、実施、報告書作成まで行っています。私はここで、業務提携している前田建設工業の技術研究所の方々とともに耐震補強工法「MaSTER FRAME構法」の開発に携わることになりました。耐震補強は、建物の老朽化が進む日本に不可欠なテーマです。東日本大震災を経て、その発展性がさらに期待されています。「MaSTER FRAME構法」は、工場で生産したRCフレームを使って、建物の外側から補強する工法で、工事中も建物の利用を可能としました。建物とRCフレームの接合には、従来品より2~3倍の耐力を持つディスクアンカーを使用します。その耐力により、目荒らしといった作業が不要となり、アンカーの使用本数も削減。騒音も抑えた施工を実現させました。すでに中京エリアのマンションや大学で実用化に成功しています。関東でも利用を促進するべく、専門の営業チームが結成されました。私一人で開発したわけではありませんが、自分のアイデアをカタチにでき、それを広めるために動いてくれる人もいる。こんなやりがいある仕事は他にないと思います。

「技術は嘘をつかない」
そんな信念でやっている。

フィリピンで大型台風が発生した際、現場の方から建物の屋根が剥がれてしまったという連絡を受けました。私は構造実験を通して、原因を徹底的に追及。その結果をもとに、より強度の高い構造・補強パターンを現場にフィードバックしました。研究所には、国内外問わず、様々な相談や質問が舞い込んできます。私は技術的な裏付けをきっちり行い、対応していくことを心がけています。いい加減な対応をすれば、不具合が発生し、東洋建設の看板に傷をつけてしまいます。まさに「技術は嘘をつかない!」です。テレビドラマで耳にしたこの言葉に、私も深く共感しました。私には、構造研究室を支えているという自負があります。会社の技術を支えているという自負もあります。研究者として、そんな自分を裏切るようなことは絶対にしないと心に決めています。
当社の研究所は少数精鋭です。その分、断片的な研究ではなく幅広く任せてもらえます。決められた枠なんてありません。やりたいことがあればどんどんチャレンジできます。私は主任研究員として、体制強化を図り、研究員が新たな歴史を次々とつくりだす研究所にしていきたいです。

ある一日の流れ

8:30 クルマで出社 朝礼
9:00 構造実験準備(鉄骨組み立て)
10:00 現場支援(電話相談・検討書作成)
11:00 学協会活動(打合せ資料作成)
12:00 昼食
13:00 構造実験準備(作業工程調整・段取・手配)
18:00 実験データの整理(文献調査・試験体構造計算)
19:30 研究開発(建物動的解析)
21:00 帰宅

主な経歴・担当案件

1993年 入社
建築事業本部 工事部/マンション新築工事を担当
総合技術研究所 美浦研究所 材料研究室 研究員/高層RC性能証明取得プロジェクトを担当
1998年 東京支店 建築部 工事担当/マンション新築工事を担当
2001年 九州支店 土木部 品質管理担当/沈埋函製作工事を担当
2007年 総合技術研究所 美浦研究所 構造研究室 主任研究員/耐震補強工法「MASTER FRAME構法」の開発・改良
2011年 東京理科大学理工学部建築学科 非常勤講師を兼務開始

OFF TIME

レジャーが盛んで、ヨット、水上オートバイ、遊覧船を楽しむ人々が集まる「霞ヶ浦」。日本百景に選定されている名所だ。研究所はこの湖が面した美浦村に位置している。「私が住んでいる場所も霞ヶ浦から近いので、休日は、バス釣りを楽しむなど、のんびりと過ごしています」と話す。時には専門書を読むなど、自己研鑽も忘れないという。

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