東洋建設


エネルギー政策を担うビッグプロジェクト。

茨城港常陸那珂港区は、北関東の物流拠点および首都圏のエネルギー基地を担う重要港湾として1989年から整備が進められている。
(2008年12月、日立港・常陸那珂港・大洗港が統合し、茨城港となる)
港区内には10万DWT級の大型外航船が運んでくる石炭を燃料とする火力発電所が稼働しており、燃料消費量の約10%(約1,600t/日)の石炭灰が発生する。これらの石炭灰は、主に港区内に設けられた管理型処分場における埋立に使用されている。しかし、既存の処分場が今後数年で埋立完了になることから、2015年度より、中央ふ頭地区沖合に新たな処分場(次期処分場)の建設が進められており、このエネルギー政策を担うビッグプロジェクトに、私たち東洋建設は大きく寄与している。
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約56万m2の処分場を海につくる。

約56万m2(800m×700m)の海の広大なスペースに、1,000万m3程の石炭灰が埋立処理できる護岸を整備する。もちろん、周辺地域・自然環境への配慮が徹底されており、石炭灰が場内の水と交じり場外へ浸出しないよう、海底も含め遮水構造による万全の対策がとられる。外周の囲みは、円筒形の構造物を並べていく鋼板セル式護岸、鋼材と鉄筋コンクリートの複合構造物をつないでいくハイブリッドケーソン護岸、および砕石と遮水シートなどを積み重ねることで形成する捨石傾斜堤護岸で構成される。それぞれ水深や作業の効率性を考慮し、最適な構造物・工法が採用された。この3つの護岸で構成される処分場は、9つの工区に分かれており、そのうちの3つの工区、つまり事業全体の1/3を東洋建設が中心となり工事を進めている。そのため、大所帯の現場となっており、私が担当した工区の鋼板セル式護岸工事だけでも最盛期で職員12名、また作業員は延べ人数5万人以上にのぼる。作業船については、ガット船・大型起重機船・リクレーマ船・コンクリートプラント船・アスファルトマスチック船団など、多種多様な船が現場に集結しており、圧巻の光景だ。
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施工最深部 水深-24m地点に、高さ26mの構造物を据付ける。

私が担当した工事で一番のポイントとなったのは、やはり鋼板セルの据付け作業だ。処分場の中でも、水深-20m以上の大深度に据付ける鋼板セルは、高さが26mあり、これは9階建てのビルほどのスケールで、直径は21mにも及ぶ。これらを1,400t吊りの大型起重機船を使用し、いくつも並べていくことで、巨大な壁を構築する。据付けの際には、鋼板セルをいかに所定の位置に精度よく据付けられるかが重要なポイント。本港区には、海面全体が大きく上下する長周期波が入ってくるため、海象条件の良くない環境での施工になるが、据付けの際に許されている誤差はわずか±30cm。海中、そして大深度への大型構造物の据付けであるため、施工的な課題も数多く存在する。しかし、これまでの海上工事の実績とノウハウに加え、最新鋭の据付け自動追尾システムを使用することで、誤差数cm単位の精度で据付けることができた。鋼板セルの据付け完了後は、中詰材の投入作業や、鋼板セル間の隙間に鋼製で円弧状のアークを挿入して、鋼板セルをアークで連結し一体化させる作業を行う。これらの施工を無事に成し遂げることができた時の達成感は言葉に言い表せないものであった。
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エネルギー供給の未来を見据えて。

現在、工事完了後に処分場内の水が外海へ浸出しないための遮水工の施工を行っており、今後、仕上げ形成を行う上部工、および鋼板セル・アークの腐食を防止する防食工の施工を進めていく。別のチームが手がけている、ハイブリッドケーソン護岸や捨石傾斜堤護岸などの築造も順調に進んでおり、処分場の姿が現われてきた。着工から竣工まで、4年以上にわたるビッグプロジェクト。多種多様な工種が混在し、関わっている会社や作業員も非常に多い。変わりゆく天候が私たちを後押ししてくれることもあれば、厳しい局面になることもある。日々様々なアプローチで施工管理に取り組むことで、工事の進捗が一歩一歩進んでいくことを常に実感でき、喜びや達成感、やりがいを強く感じることができる。しかし、まだ予断は許されない。完成するその日までこの工事がこれからも円滑に、そして何より安全に進めていけるように、私自身も様々な知識を貪欲に吸収して、現場に貢献していく必要がある。
首都圏のエネルギー供給を支える次期処分場建設。この偉大なるプロジェクトを手がける責任と、日本の未来への思いを胸に、全スタッフが日々躍動している。
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入社後、集合研修を終えて、この現場に配属されました。最初に鋼板セル・アークの陸上製作を3ヵ月担当し、その後、海上部の施工管理を担当しています。現場の雰囲気は明るく、風通しも抜群。若手もどんどん意見を言えますし、若手の裁量で施工を進めていける機会を提供してくれます。その中で管理する大型海上土木工事は、楽しさと達成感を常に自分に与えてくれます。前例の少ない鋼板セル工法を担当できたことは貴重な経験となりました。多彩な工法を手がける東洋建設なら、自分の幅を広げていけると思います。

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