東洋建設 I 統合報告書 20242024年は能登半島地震に始まりましたが、当社は地震発生日本における建設市場は、国土強靭化や国家防衛戦略の推進、さらには半導体をはじめとする製造業の国内回帰などにより、非常に旺盛な環境にあります。一方で、急速な人口減少が労働集約型産業である建設業に深刻な影響を及ぼしているのも事実です。サプライチェーン全体における担い手不足が深刻化していることに加えて、時間外労働の上限規制、建設資材や労務費の高騰など、多くの課題に直面しています。また、人口減少のさらなる進行によって、国内建設需要の減少も予想されます。こうした状況を受けて、新たな市場開拓の必要性がますます高まっています。当社グループは、カーボンニュートラルの実現にビジネスチャンスを見いだし、洋上風力施設の建設や二酸化炭素回収・貯留(CCS)、製鉄所の電炉転換といった国内土木事業は、国土強靭化関連の防災・減災事業に加え、国家防衛戦略に伴う防衛関連工事の増加により、良好な受注環境が継続しています。直後から現地に入り、輪島港の応急復旧など早期復旧に尽力しました。今後は能登半島地震の被災地の本格的な復興に向けて、社会的使命を果たすべく先頭に立って取り組んでいく考えです。民間土木では、2023年6月のGX推進法の施行以降カーボンニュートラル関連の引き合いが増加し、環境分野の取り組みが本格化しています。そのようななか、愛知県が募集した「あいち環境イノベーションプロジェクト」において、当社が提GX・EX関連工事などの受注に注力していきます。また、新築建50年以上にわたり事業を展開しているフィリピンを中心に海2024年8月には、かねてより注力してきたReReC®物へのZEB・ZEHや既存建物への省エネ化提案などに対しても積極的に取り組んでいきたいと考えています。特に洋上風力建設事業については、2027年度以降業績への貢献が期待されています。これまで培ってきた海洋土木の知見や技術、保有する船舶を活かしつつ、成長投資としての自航式ケーブル敷設船の建造、高機能埋設機の調達や組織体制の構築を進めていく考えです。ケーブル敷設分野をはじめとする様々な領域に取り組むことで、フロントランナーとしてトップシェアの獲得を目指していきます。また、海外市場では、当社グループが外建設事業のさらなる成長・拡大を実現してまいります。案した「海面最終処分場の保有水等に工場排ガスや大気から回収したCO2を固定化するスキームの構築・展開」が、革新性・必要性・共創性で高く評価され、2024年9月に採択されました。今後はこの技術の実装に努め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できればと考えています。国内建築事業においても、民間を中心に市場は極めて活況を呈しています。当社グループは特に物流施設や生産施設に強みを有しており、収益性を重視した営業活動の継続により、利益水準の底上げを実現しています。また、建設資材高騰の影響を受けつつも、顧客への提案力向上とリスクの適切な見積もりにより、顧客満足と収益安定を両立させています。当社グループの事業を取り巻く環境は活況が続き、カーボンニュートラルの実現など新たなチャンスも拡大しています。このような背景のもと、設備や人財への投資を積極的に行い、 当社グループの持続的な成長と、事業を通じた社会課題の解決に挑んでいきます。市場の変化をチャンスと捉え、果敢に挑戦を続けますカーボンニュートラル関連施設の建設をはじめ、事業領域の拡大を目指します17
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