東洋建設 統合報告書_2024
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東洋建設 I 統合報告書 2024国内建築事業では、超大型案件の受注や引き合いが急速に拡大しており、これを今後の安定成長につなげる大きなチャンスと捉えています。従来から強みを発揮してきた物流施設・生産施設等での受注拡大に加え、エンジニアリング力で差別化が可能なReReC®など「成長市場への参入」、請負以外のビジネスモデルを目指した「“非請負”へのリソース投下」へ注力していく考えです。特にReReC®は、新築需要の低下とともに既存建物の改修・用途転換へのニーズが高まり、将来的には需要が大きく伸びることが想定されています。このため、プレゼンス向上に取り組むことで受注につなげ、確固たる地位を築きたいと考えています。また海外建設事業では、土木はこれまでODA案件を中心に事業を展開してきましたが、今後はフィリピンで民間事業も強化していく考えです。また、同国は再生可能エネルギーのポテンシャルが高く、政府が積極的に推進していることから、インフラ整備に参画することで環境分野の課題解決にも貢献していきます。建築は、CCTがフィリピンにおいて日系ナンバーワンゼネコンとしての地位を確立しています。同国は今後も大きな当社グループは、マテリアリティのひとつとして「カーボンニュートラル社会の実現」を選定しています。地球温暖化は大きな社会課題であり、その解決策として先に述べた洋上風力建設事業への参画のほか、ZEB・ZEHの推進による環境負荷の少ない建築物の提供、作業船から排出されるCO2の固定化、低炭素燃料の導入に取り組んでいます。また、20年以上にわたって取り組んでいるアマモ場造成は、ブルーカーボン生態系によるCO2吸収・固定化やネイチャーポジティブの実現に寄与するものであり、活動地域を拡大していきたいと考えています。さらに、藻礁ブロックや人工干潟の造成といったアマモ以外のブルーカーボンに貢献する取り組みも進めていく予定です。一方、少子高齢化が進むなか、建設産業の持続可能性を維持していくためには、人的資本への投資と、取引先とのパートナーシップ強化は大きなポイントとなります。当社グループに経済成長が見込まれることから、現在保有するリソースを最大限活用して事業拡大を図りながら、主力である日系・欧米系企業の物流施設や生産施設に加え同国の優良企業からの受注に取り組んでいきます。洋上風力建設事業においては、現在、作業船やこれらを活用した洋上施工に関するサプライチェーンが成長途上にあり、当社グループに対する市場からの期待の高まりを感じています。当社グループは自航式ケーブル敷設船への設備投資をはじめ、サクションバケット基礎やTLP方式浮体の研究開発の成果を通じて、市場から高い評価を得てきました。今後は、建造中の自航式ケーブル敷設船の市場投入を皮切りに、関連事業を含めた洋上施工に関するエンジニアリング力を一層高め、各々の事業のニーズを的確に捉えることで、将来の収益力最大化を目指します。また、保有船舶の相互利用や技術開発の推進・商用化を着実に進めるべく、国内外の有力企業とのアライアンス構築による体制整備にも取り組んでいきます。これらの活動を通じて、2027年から本格化する洋上風力施工においてトップシェア獲得を狙います。おいては、一般財団法人建設業振興基金の建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用等を通じた労働環境・処遇の改善を進めるとともに、DX・ICT技術の推進を通じ生産性を向上させ、収益力の向上を目指していく考えです。こうした働き方改革や安全な職場環境づくりといった施策の実行はもちろんのこと、「人材」を「人財」へと成長させることを目指した教育プログラムのアップデートなど、人的資本の充実に取り組みます。また、当社が「パートナーシップ構築宣言」を確実に履行すること、そして取引先にサステナビリティ調達方針を遵守・実践していただくことで、建設産業全体の健全な発展とサステナブルな社会が実現していくものと考えています。こうした取り組みを通じて「事業を通じた社会活動の解決」と「事業基盤の強化」を両立させ、社会的使命を果たし続けていきます。事業活動を通じた環境・社会課題の解決にも積極的に取り組みます19

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