東洋建設 I 統合報告書 2024は、2040年までに温室効果ガスを73%削減し、再生可能エネルギーの電源構成比率を40〜50%に引き上げる新たな目標が掲げられました。そのなかでも洋上風力は再エネの切り札として期待されています。一方で、世界的なインフレの影響により資材や建設コストが高騰しており、政府による公募ルールの変更や民間企業による事業コストの削減およびサプライチェーンの早期の整備が必要です。さらに、日本近海では適地が限られるため、政府は排他的経済水域(EEZ)の海域利用を検討しており、我々当社グループでは、これらの課題を解決するため、洋上風力当社は、国内に自航式作業船が稀有であった時代にいち早く自航式多目的船「AUGUST EXPLORER」を建造し、2016年に就航して以来、EEZなど外洋において多くの実績を積み重ねてきました。他社が次々とSEP船建造を進めているなか、当社は洋上風力のみならず浮体式洋上風力や海洋事業全般の市場や適用性などから、自航式ケーブル敷設船を建造する判断に至りました。自航式ケーブル敷設船は、2023年12月からルーマニアの造船所で建造を開始し、2025年上期の進水、2026年上期の完2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でEPCにおいては外洋技術・大水深技術の開発が必要です。「AUGUST EXPLORER」での外洋技術と実績の展開、着床式建設事業の実現と普及に欠かせない施工技術開発、バリューチェーン構築と拡大に取り組み、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。当社における洋上風力の取り組みは、2012年ごろから洋上風力の技術開発、設備投資検討および各種プロジェクトの検討を進めてきました。2021年4月に土木事業本部内に洋上風力部を設置、2024年4月に洋上風力事業本部が発足し、洋上風力建設事業を当社の新たな成長ドライバーとするため、取り組みを加速しています。現在は2027年度からの工事参画を目指し、特に設備投資、技術開発、体制構築、国内外への営業に注力しています。成に向けて順調に進□しており、2027年から本格化する洋上風力工事への就航を目指しています。本船は、浮体式、着床式それぞれに適した広範な海域で海底ケーブル工事に加えて、北海道〜東北間直流送電事業への適用も可能になり、洋上風力の海洋工事分野における当社の優位性は一層高まるとみています。さらに、日本特有の地盤性状に対応するため、当社独自の海底ケーブル埋設機の調達を決定しました。こちらも2026年に完成する予定であり、自航式ケーブル敷設船と併せて、ケーブル施工技術の確立に向けた取り組みをさらに進め、施工の低コスト化を実現していきたいと考えています。当社グループは、2050年のカーボンニュートラル社会実現に貢献するため、成長ドライバーと位置付ける洋上風力建設事業の取り組みを加速しています。「自航式ケーブル敷設船」の建造をはじめ、技術開発、将来に向けた人財育成を強力に進めるべく、2024年4月に「洋上風力事業本部」を設置しました。力強く組織を牽引し、挑戦を続ける泉照久洋上風力事業本部長に事業推進の進□を聞きました。洋上風力建設事業の事業化への取り組みを加速世界最大級のケーブル敷設船の建造など積極的な設備投資を実施特集1 洋上風力建設事業222027年から本格化する洋上風力海底ケーブル分野でトップシェアを目指す
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