東洋建設 統合報告書_2024
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東洋建設 I 統合報告書 20242026年度の完成を目指して自航式ケーブル敷設船の建造が進という状況のため、ヒト・モノ・カネのあらゆる面で戦略を常にアップデートしながら進めていかなければなりません。洋上風力で実績を上げれば、周辺の成長領域に進出するチャンスも生まれてきますから、戦略議論を強化し、それをいかに戦術に落とし込んでいくかが重要になると考えています。藤井 洋上風力は土木・建築と比較してリードタイムが長く、投資規模も大きいため、これまでにないリスク管理のあり方や体制が必要になります。これまで以上に議論に厚みを持たせる必要がありますし、組織的な判断のスピードを上げて優先順位を決めることも重要になるでしょう。何も決めずに時間が過ぎるということがないよう、一度決めたことも違うと思ったら変えるというような判断とアクションが最大のリスク管理になると考えます。内山 洋上風力への投資はおそらく当社始まって以来の大規模なものだと思いますので、ファイナンススキームも工夫の余地があるかもしれません。投資に対する回収に時間がかかるので、投資資金についてのリスク管理についても議論を重ねていく必要があります。松木 当社の持つ技術力などが、ケーブル敷設以外にどんなエリアで発揮できるのかを発見し、新しい領域に参入していくことも検討していかなければなりませんね。洋上風力に限らず、今後はインオーガニックな成長も視野に入れた多角的な議論が必要ですし、当社の挑戦を株主・投資家を含めた社外の皆様に理解してもらうための発信も積極的に行っていかなければと思います。現状で利益が上がっていないということは、伝え方を間違えると株価などにマイナスの影響を与えることもあり得るため、将来性について適切に発信していく必要があります。内山 新しい事業の柱を作るにあたってカギとなるのは人財です。社内で人財の流動性を高めること、外部から専門人財を獲得すること、海外ビジネスを見据えて外国籍人財にアプローチすることなどを考えると、人事マネジメントの重要性はますます高まっていくと考えられます。新しい事業に携わる人財は、社内で少し浮いた存在になる可能性もあります。洋上風力の部門には中途採用や外国籍の人財も多く入ってきていますから、プロパーの社員とは違う個性も持っていると思います。そうした動きが、組織風土変革のポジティブな刺激にもなればいいですね。松木 それに伴って、給与体系の見直しなども必要になるでしょう。当社の現在の給与は、業績に連動する部分の割合が低社内と社外、監督と執行が試行錯誤しながらも議論のキャッチボールを交わし、お互いの意図するところを□み取ることで成長に対する強い意欲を全員が共有することが、成長に向けた基盤になると期待しています。̶̶ 藤井 佳子特集2 社外取締役鼎談内山 公共事業を中心に受注型の仕事を継続してきたので、業界のなかでのシェアの取り合いが中心になってきたことと思います。それは収益の柱として非常に重要ではあるものの、今後は自分たちが持っているポテンシャルに気付き、それを成長に向けて発揮するという意識を持ってもらえるようにしなければなりません。松木 将来どんな会社でありたいのか、そのために何をしなければならないのかを考え、当社なりの成長のあり方、各部門なりの成長への道筋を示していく必要があります。私たち社外取締役は、社外からの視点に立ってそうしたことを指摘することが役割ですから、まずは社内に気付きを与えていければよいと考えています。内山 当社が成長ドライバーと位置付ける洋上風力建設事業は、成長ポテンシャルが非常に大きい分野です。そのなかで、ケーブル工事というニッチな仕事にターゲットを絞るという選択は、当社が培ってきた海洋工事のスペシャリティを発揮するという意味でも今のところうまくいっていると感じています。むなど、大型の投資も積極的に行っています。しかし、この事業は先行投資の段階でまだ収益を上げていないので、リスクが継続しているというのも事実です。実際に稼働し、一定のマーケットシェアを獲得できれば安定的な収益源になり得るという確信がありますが、一方でリターンが出るまでに数年かかる28

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