東洋建設 I 統合報告書 2024くなっており、安定はしているものの、大きな挑戦をしたときに報いるものが少ないということでもあります。ただ、給与体系松木 当社は2027年までの中期経営計画を進めていますが、中計は経営だけのものではありません。節目節目で事業部との対話を通じてよく議論し、社員一人ひとりが会社の成長に向けて目指すものや必要な行動を認識することが重要です。また、行動するにあたって、会社の外で起きていることにも意識を向けなければなりません。藤井 成長に対する強い意欲を組織的に共有して、中計にみんなの魂を入れるということは重要ですね。社員一人ひとりが「自分も中計に関わっている」という意識を持って、具体性・方向感を共有できるのは大きな一歩になると思います。私個人としては、これまでの経験から「数字から事業を見る」ということを意識してきましたので、予実の数値と戦略の整合性にこだわりを持って会社全体を牽引するということに意を払っていきたいと考えています。松木 会社が成長し強くなるためには、営業面はもちろん大切ですが、それを支えるコーポレート部門の強さも必要となります。自分の過去の経験からも、企業が成長を志向するときに基盤となるコーポレート部門を徹底的に強くすることの重要性を実感しています。営業部門とコーポレート部門が自分の領分を守ることに固執せず活発に意見を言い合える風土を築くことも、ガバナンスを効かせるために重視しているポイントです。そのような状況を「健全な領空侵犯」と呼んだりしますが、お互いが助けにもなれば牽制にもなる、それこそが目指すべき協働のあり方ではないかと考えています。内山 これまで受注型の仕事が多かったなかで、特にコーポレート部門では市場や成長戦略について意識する必要が少なかったのではないかと思います。先ほど人財の話をしましたが、今後は従業員一人ひとりが成長キャリアを考える必要があります。それを支える意味でも、将来の事業を見据えた社内の人財力強化や次世代の幹部候補育成にも意欲的に取り組んでいきたいです。一人ひとりが自分のキャリアを考えていく先に、経営幹部としてステップアップする道に挑む社員も出てくればと期待しています。また、洋上風力建設事業の話題のなかでも指摘しましたが、社会全体で人財の流動性が高まっていることを意識しつつ、社内でも流動性を高めて、全体として最適化すを変えることは痛みを伴うものでもあるので、議論を深めながら適切な方向性を検討していかなければと思っています。ることで人財力を高めていくことが必要です。それが最終的に事業の成功や会社の成長につながっていくという意識で取り組んでいければと思います。松木 私や内山さんはアクティビスト側から推薦されて社外取締役に就任したという立場ですので、社内からは「アクティビストの言い分を通すために会社にいるのでは」と見られてしまうおそれもあります。しかし、取締役会は一部のステークホルダーの意向に左右されることなく、すべてのステークホルダーのことを考えて判断をしなければなりません。実際、私たちを推薦した側の提案に不賛同を示したこともあり、ニュートラルな立場で経営を行っているとご理解いただきたいと思っています。当社の取締役は様々な経験、多様な知見を持った方々が集まっていますから、一人ひとりの専門性や経験に基づいた対話が活発に行われることで、議論の質が高められていくと期待しています。迅速かつ積極果断な経営判断ができる取締役会の運営を、これからも目指していきたいと考えています。洋上風力建設事業は当社にとってかつてない規模の新しい挑戦となりますが、これをきっかけに社内の人財力を高め、組織風土変革へのプラスの刺激を生み出し、会社全体を変革する原動力につながればと思います。一人ひとり、すべての部門が一丸となって目指す企業成長̶̶ 内山 正人29
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