東洋建設 統合報告書_2024
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東洋建設 I 統合報告書 2024日本初の商用スケール大型潮流発電機の設置工事を五島列島“奈留瀬戸”で実施常務執行役員土木事業本部長舘下 章当社グループはマリコンとしての強みを活かし、官庁および民間のインフラ工事を手がけています。官庁土木は、国土強靭化施策等により国内の市場環境は安定していますが、中長期的には人口減少に伴い、公共投資の減少は避けられないとみています。一方、民間土木に関しては、カーボンニュートラルやエネルギー転換の動きが活発化し、マーケットに変化が生じており、海洋土木のリーディングカンパニーである当社グループにも、新しい分野へのチャレンジが求められています。日本初の商用スケール大型潮流発電機の実証プロジェクトでは、当社が発電機の回収・再設置を担当しており、今後は長崎県五島市奈留島の電力網に送電することが計画されています。さらに、洋上風力事業本部との連携により、洋上風力発電の送電網や通信インフラ整備等の開発も進めています。陸上土木に関しても、高炉から電気炉への切り替えや燃料転換のニーズが増加しており、当社の強みである海から陸につながるエネルギー関連設備の建設需要が多くなっています。これからも、当社に蓄積した技術と実績を活かし、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。もうひとつ、防災・減災の観点においても当社が果たすべき役割があります。当社は自航式多目的船をはじめ様々な作業船を保有し、沿岸域から外洋域の多様な工事を行っています。2024年の能登半島地震では、被災地の陸上のアクセスが寸断されたため、海からのアプローチで復旧を支援しました。兵庫県西宮市鳴尾浜と、□城県美浦村に置く当社の総合技術研究所では、施工に関する技術だけでなく、防災・減災技術に関する多角的な研究を進めており、今後の沿岸域、外洋域の開発には、防災や減災の観点の取り組みをより強化してまいります。そして、カーボンニュートラル、エネルギー転換、防災・減災、また二酸化炭素回収・貯留(CCS)などの新規領域に対し、全社横断的な事業開発を行う新事業推進部を当事業本部内で発足させました。国や企業、大学の研究機関との連携も非常に増えていますので、研究成果をプロジェクト組成につなげていくマネジメント組織としての機能を持たせています。このように、土木の領域は社会課題と直結する、スケールの大きい事業です。その魅力を若い世代の人たちに伝え、業界全体で新しい人財を獲得できるよう、引き続き尽力していきたいと思います。これまで蓄積してきた技術と実績を活かしながら新しい分野へもチャレンジし、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。今後の成長戦略35

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