東洋建設


大型船が寄港できる多目的ターミナルの造成。

カンボジア唯一の大水深港で、国際物流の拠点港となっているシハヌークビル港。カンボジアの経済成長に伴い、取扱貨物量が毎年10%を超える増加を続けている。それに伴い、コンテナ貨物の埠頭整備・拡張が進められてきた。しかし、一般・バルク貨物(ウッドチップ・石炭・鉱石など梱包せずに積み込まれる貨物)においては、老朽化した小規模埠頭で取り扱われており、水深も浅めで小・中型船しか寄港できず、需要の増加に対応しきれない状況。しかも、近海では石油採掘計画も進められており、資機材供給拠点の確保も急務だった。そこで、シハヌークビル港内に、大型の一般・バルク貨物船が入港できる埠頭と、オイルサプライベースを併せ持つ多目的ターミナルの造成を行うこととなり、ほかならぬ私たち東洋建設がその工事を担っている。
工事は海上と陸上に分かれ進行中。海上では、大型船の港内進入と旋回を可能とすべく、海底を1,800,000m3にわたり掘削する浚渫工事と、船が停泊する岸壁築造を実施。陸上では、コンクリート舗装や排水設備、電気工事など、港湾施設整備が行われている。
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各国のスタッフと作業船が集結した多国籍な現場。

東洋建設の社員は、所長と施工管理と現場事務である私の3人。日本からは関連会社のスタッフとJVのメンバーが1人。加えて、カンボジア、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマーからも約300人が集められ、6ヵ国体制の類を見ない多国籍な現場となっている。海外案件は、スタッフを現地で雇用するのが一般的だが、今回の工事は、当社にとってカンボジアにおける過去最大規模の工事。本格的な工事は初と言ってもいい状況の中で、実績のないカンボジアのスタッフだけでは円滑に工事を進めることはできない。そのため、当社の工事で経験とノウハウを培った各国のスタッフを集める必要があったのだ。
作業船においてもカンボジア国内にはなく、日本および近隣諸国から集められた。海では、水底土砂をつかみ揚げるグラブバケットが搭載された浚渫船、その土砂を運搬する土運船、資機材の運搬船、岸壁資材を吊り上げるクレーンが搭載された起重機船、油圧ショベルなどを乗せる平台船など、10隻ほどの船が作業を進めている。これだけの船が一度に集結することも珍しく、海上土木の仕事のスケールの大きさをあらためて実感できる現場だ。
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「積ブロック式の直立岸壁構造」を採用。

通常、地震の多い日本や地盤の弱い地域で行う岸壁工事では、剛性が高く、何十mもあるケーソンという箱型の構造物を使用するケースが多い。しかし、形状が特殊かつ巨大なため、その成型には相応の設備も必要。作業スタッフの高い技術力も求められる。さらに、重量も何千トンにも至るので、それを吊り上げられる特大クレーンや、据え付けを行う専用船も追加で手配しなければならない。あらゆる面で予算が膨らんでしまう。
そこで、この工事においては、若干強度は落ちるものの、比較的小型のコンクリートブロックを積み重ねていく「積ブロック式の直立岸壁構造」が採用された。小型といっても、横幅7m、高さ2mもあるブロック。それを1600個、海底から1層ずつ据えていくことで、全長530m、高さは海中部分も含め最大18mにおよぶ岸壁をつくっていく。カンボジアは、地震がほぼなく、地盤も強固なため、この岸壁構造でも十分すぎるほどの剛性を得られる。ケーソンと比べれば成型も比較的容易で、コストも抑えられる。カンボジアにおいて理想的な構造の岸壁築造が進められている。
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知恵と工夫で乗り切っていく面白さと社会貢献性。

海外案件に、日本の常識や従来通りのやり方は通用しない。カンボジアという国のあらゆる状況を鑑みて、モノづくりを行っていく必要がある。気候や天候だって当然日本とは異なる。カンボジアには長い雨季(5月~10月)があり、それを見越した作業スケジュールの組み立ても不可欠だ。他にも文化、法律など、前例なき壁がいくつも立ちはだかる。その数々の難問に対する答えを自分たちで導き出していかなければならない。しかし、そこに海外案件の醍醐味がある。自分たちの知恵と工夫で乗り切っていく面白さがある。そして、自分たちが手がけたモノが、「カンボジアの貿易、ひいては経済発展に貢献する」というやりがいも得られる。
竣工予定は、2017年7月。その頃には、私たちが技術を伝承しているカンボジア人スタッフたちも大きく成長し、次の現場が動き出した際は心強い仲間になっていることだろう。今後を見据え、現地スタッフを育成していくことも重要なミッション。私たちは、カンボジアの未来に貢献できることを誇りとし、彼らの成長に喜びを感じながら、スタッフ一丸となって、このプロジェクトを遂行している。
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東洋建設は、社員の想いを大事にしてくれる会社です。私は事務職として入社し、最初は経理部に配属されました。しかし、現場に近いところで仕事がしたいという想いがあり、現場事務の仕事を希望していたところ、そのチャンスを早々にもらうことができました。
海外案件は、規模も予算も大規模で、施工管理などの技術職は言うまでもなく、経理、財務、法務、総務、さらには人の管理まで担う現場事務にとっても、貴重な経験ができ、大きなやりがいを感じられますよ。

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