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日本初となる海底設置型フラップゲート式水門設置工事が完工~岩手県の復興・防災に貢献~

 日立造船株式会社(大阪府大阪市、三野 禎男社長兼COO、以下、日立造船)は、このほど、岩手県発注の日本初となる海底設置型フラップゲート式水門が採用された大船渡漁港海岸高潮対策(細浦地区水門その2)工事を完工しました。

 

試運転時の浮上の様子:2020年6月

 

 本工事は、2011年3月に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた大船渡漁港およびその周辺地域の防災対策として、岩手県が海底設置型フラップゲート式水門の設置工事を計画したもので、日立造船が2017年10月に受注し、設計・製作・現地据付を進めてきました。

 海底設置型フラップゲート式水門は、海底に設置した扉体の浮力を利用して起立させることで連続した水門や防波堤などを形成する可動式の構造物で、日立造船と東洋建設株式会社(東京都千代田区、武澤 恭司社長、以下、東洋建設)および五洋建設株式会社(東京都文京区、清水 琢三社長)が共同開発したものです。

 従来の水門設備は、海上や河川上に設けられるため、扉体の純径間を伸ばすことや大型化には限界がありましたが、本設備は海底に設置するため、扉体の設置枚数を増やすことで長径間のエリアを守ることが可能です。

 本工事における海底設置型フラップゲート式水門の据付にあたっては、海底に打設された56本の鋼管杭に水門設備を差し込むという高い施工精度が求められましたが、海洋工事で豊富な実績とノウハウを有し、本工事に参画した東洋建設の技術が活かされました。

 

【本設備の特長】

 ①扉体が海底に倒伏した状態で函体に格納されており、津波・高潮発生時には扉体先端に取り付けられた係留フックを解除することで、自動的に水面まで浮上する。

 ②扉体が海底に設置されているため景観に優れ、船舶などの航行が可能。

 ③海底に設置されている扉体の空気量を把握することで、扉体の状態監視が可能。また、扉体に空気が入っていることで扉体が常に海流により揺れ動くため、扉体の固着防止につながる。

設置イメージ:一般的なローラゲート

設置イメージ:海底設置型フラップゲート式水門

 

 海底設置型フラップゲート式水門の採用は本工事が日本初であり、その特長を岩手県が検討し、全国の自治体に先駆けて決定したものです。2020年3月には兵庫県より淡路島福良港に設置予定の二例目を受注しており、港湾・漁港・河川などの関係者から注目を集めています。

 

 なお、本件の概要は次のとおりです。

1.工事名:大船渡漁港海岸対策(細浦地区その2)工事

2.発注者:岩手県

3.受注者:日立造船株式会社

4.寸  法:純径間32.0m×有効高13.0m

5.扉体枚数:4枚(幅8.0m×有効高13.0m)

6.建設地:岩手県大船渡市末崎町地先

7.工  期:2017年10月1日~2020年12月1日

8.製作工場:日立造船 堺工場(大阪府堺市)

以 上

 

工場完成時の写真:2019年11月(※扉体寸法:純径間32.0m×有効高13.0m)