トップメッセージ

トップメッセージ

新中計1年目に過去最高益を達成。
ぶれない基軸である経営理念を常に大切にし、
より強靱でしなやかな企業を創り上げます

代表取締役社長
武澤 恭司

初めに、新中計1年目の2020年度はいかがだったでしょうか。

2020年度は、役職員全員の頑張りによって過去最高益を記録することができました。
各事業の状況を説明しますと、国内土木事業は国土強靭化施策をはじめとする公共事業が堅調であり、また民間事業も緊急性の高い施設の更新需要もあって、大変忙しい状況が続きました。利益面は、得意とする海上工事に加え、一部の陸上工事で採算が改善したので、会社全体の業績を引き上げる牽引役となりました。国内建築事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による設備投資の減少が懸念されましたが、物流倉庫や環境関連施設等を中心に受注量を一定程度確保できました。利益は前年度に比べ減益となりましたが、年度計画を上回る結果を残せたので、厳しい状況のなか頑張ったと思います。
一方、海外建設事業は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。一部の国でロックダウンが行われましたし、医療体制が脆弱であることから職員の安全を第一に考え、日本へ帰国させる等の措置を講じました。その結果、工事の一時中断やスローダウンを余儀なくされ、スタンバイ費用も計上することになり、収益面では厳しいものとなりました。
全体的には、海外での新型コロナウイルス感染症による影響を国内事業でカバーすることができたので、中期経営計画(以下、中計)の1年目としては、良かったと評価しています。ただし、数字ではなく中身、施策の実行という面では課題があると考えています。最高益という数値面の結果だけを見て浮かれることはないとは思いますが、大事なのは着実に取り組みを進めていくことなので、気持ちがぶれないようにと厳しく言っています。中計1年目はかなり恵まれた面がありましたので、このような良い年は続かないということを念頭に取り組みを進めています。

新型コロナウイルス感染症に対してはどのように対応したのでしょうか?

内勤者については他業種と変わらないと思いますが、我々は建設業ですから現場の対応が一番重要です。現場は会社の収益の源泉であり、暑いなかマスクをして業務に取り組んでもらっている状況に、本当に頭が下がる思いです。去年は熱中症に加えて新型コロナウイルスの感染拡大を心配しなければなりませんでしたが、相当警戒しながら仕事を進めた結果、国内では工事を中断することはありませんでした。
しかし、前述のとおり、海外ではロックダウンによる工事の一時中断が発生しました。このうち、アフリカ・ケニアでは、海上工事部分だけを止めて残りの陸上工事や建築工事はケニア人だけで進めることとし、当社は日本国内からリモートで指示を出しながら現場を管理しました。最盛期には1,000人以上のケニア人作業員が従事しますので、管理能力が問われますが、5年にわたる1期工事の経験とケニア人作業員への教育の成果により進めることができたと思います。現在(2021年8月初め)、インドネシアでも新型コロナウイルスの感染が拡大しているため、ケニア同様、リモートで現場を運営、管理しています。このリモートによって現場を管理できることが、今までと比べて一番大きな変化だと思います。
国内でもWebカメラを使った社内検査を取り入れたことで、現場への移動に伴う感染リスクを減らしています。今は民間工事が主となっていますが、公共事業でも取り入れられつつあり、感染症対策だけでなく、働き方改革にもつながるものだと思います。

2021年度の各事業の環境はいかがでしょうか。

国内の建設市場の環境は悪くないと見ています。土木事業では、「国土強靭化5か年加速化対策」が決まったので、一定程度の予算が組まれています。得意分野である海上土木工事に加え、陸上分野の強化を図っている当社としては、大きなチャンスと捉えているので、ある程度の事業量が見込まれることは良いことだと認識しています。また、陸上土木と同様に強化を図っている民間土木工事についても、お客様とのつながりがかなり強まってきました。潜在的なニーズはあるので、お客様との関係強化を続けていけば、当社の力を発揮できる場面が増えてくると考えています。
建築事業は民間のお客様がほとんどですので、経済環境の変化に敏感です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって競争は若干厳しくなってきましたが、マーケットは大きく、様々な分野があるので事業量は確保できると見ています。特に、巣籠もり需要によって物流倉庫や食品工場等は引き合いが多い状況です。また、ごみ処理場といった環境関連施設の老朽化による更新工事も全国で進められていますので、エンジニアリング会社と連携して受注に向けた取り組みを進めています。海外建設事業は、新型コロナウイルス感染症の影響は落ち着いていませんが、フィリピンで契約前の大型プロジェクトが2件あり、受注・売上・利益とも前年度を上回る見込みです。
全体としては、昨年ほどではないにしろ、中計で策定した2年目の目標数値を上回る業績を見込んでいます。

「創立100周年の目指すべき姿」について、改めて率直な想いを聞かせてください。

創立100周年の目指すべき姿として定めたのは、「ぶれない基軸を持ち、刻々と変化する環境にフレキシブルに対応し、厳しい逆境にも立ち向かうことができる持続可能な企業」です。
今、サステナビリティやSDGsという考え方や国際的な目標がクローズアップされていますが、企業は利潤をあげながら、社会に貢献できる事業を継続していくことが基本だと考えています。
先に申し上げた「基軸」とは原点のことであり、40年以上前に制定した経営理念を指しますが、そこでは「新しい豊かな技術で顧客と社会公共に奉仕することに努め」ると定めています。これは、本業である建設業を通じて社会インフラの整備に貢献していくことを示しており、まさにSDGsそのものです。
一方で、会社は利益を追求することを目的としており、また人の幸せを拡大していくために存在しますが、そのために何をしてもよいわけではありません。会社の目的達成のためにあるのが経営理念であり、迷ったときにいつでもこの原点に立ち返ることができれば、考え方がぶれることはあり得ません。実は、フレキシブルという言葉にも危ないところがあって、当社の長い歴史の中では、流れに乗ろうとして痛い目に遭ったこともありました。つまり、フレキシブルに対応するにあたっては、その行動が経営理念に合致しているかどうかを判断基準としなければいけません。このように経営理念に沿って事業を行っていけば、ことさらにサステナビリティやSDGs等を意識せず、今までと同じ価値観を持って事業活動をすればよいと思っています。
大事なことはぶれない基軸を持つことで、その理念を持って柔軟に対応していくことだと考えています。

社会課題の解決への取り組み状況やサステナビリティについての考えを聞かせてください。

サステナビリティについては、構えることなく普通に仕事をしていけばよいと考えています。申し上げたとおり、我々の経営理念と共通している部分が多いので、当社の事業内容を整理して対応を打ち出していけばよいはずです。職員の意識を均一にしていく必要はありますが、当社が今まで取り組んできたほとんどのことは、SDGsの精神につながっています。肝心なのは机上の空論で終わらせないことで、できることをどんどんやっていくことに尽きます。
SDGsの詳細を見ると共感することは多々あります。特に貧困の解決に資することは、世界のトイレ問題の解決と奨学金制度の設立という2つの計画を打ち出していますので、もっとスピード感を持って取り組むよう指示を出しているところです。たとえば、当社の子会社が取り扱っているトイレは循環式で、環境に優しく臭いもほとんどしないので、国内では建設現場を中心に相当なニーズがあると見て設備投資を進めていますが、このトイレを海外に持っていけないかと話しています。海外では、衛生面の不備はもちろん、扉がないようなトイレもあり、命の危険にさらされることもあります。望まれていること、求められていることをあたりまえにやればよいので、あとは実行するだけだと思います。
一方、貧困からの脱出には教育が必要です。当社は海外工事を通じて、進出した国でいろいろとお世話になってきましたが、その恩返しの意味で貧困を理由に教育の機会を得られない人に奨学金を出そうと計画しています。あいにく新型コロナウイルス感染症の影響で関係先との協議が滞りがちですが、まずはフィリピンで私立の工科大学に奨学金を設ける等、何とか今年度中には形にしたいと思います。そして、当社の奨学金によって高等教育を受け、一人でも二人でも社会や当社にも役立つ人財が出てくれればと期待しています。
また、大きな社会課題であるカーボンニュートラルについては、洋上風力を中心に取り組んでいます。低コスト化工法の開発や作業船の調達等によって洋上風力発電施設建設事業における当社の地位を確立し、脱炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。

中計では人財育成に注力するとしていますが、進捗状況はいかがでしょうか。

中計では5つの基本戦略を策定しましたが、そのうち「人財への投資」を最も重視しています。当社の人員構成は、中間層である40歳前後が少ない歪な状況となっていますので、それをどうカバーするかが問題です。
これまでも定年を迎えた職員の再雇用や、若手職員に早く一人前の立場になってもらうための10年プログラムを実施してきましたが、特に10年プログラムはかなり実効性のあるものだと思います。近い将来、プログラムを終えた若手職員が増えてくる時期が来るので、今から楽しみにしています。また、海外の人をいかに活かすかという点も重要です。例えば、当社グループで働くフィリピン人エンジニアは、定期的に日本で研修を受け、現場で日本式の施工管理を学ぶほか、日本語教育も受けてもらっています。このような教育を充実させていくことで、グローバル化が進んでいくことを期待しています。
女性の活躍推進については、新卒採用で全体の2割を目指しており、ここ2年は達成しています。また、昨年には、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定(星2つ)」を受けました。少しずつではありますが、当社でも女性が働きやすい職場が実現していると思います。
経営には「人」が一番大事です。専門業者の技能労働者を含めた担い手不足は深刻な状況ですので、生産体制を維持していくためにも人への投資を続けていきます。

最後にステークホルダーへのメッセージをお願いします。

当社は、本業である建設業を通じて社会的な使命を果たすことに努めてきました。それは、顧客や株主、従業員をはじめとするステークホルダーに対しても同様です。経営理念でも語っているとおり、「会社の安定成長」と「従業員の福祉向上」は同時に追求していくべきものであると考えます。
これからもこの考えのもと、社会課題の解決に取り組み、企業価値の向上に努めてまいりますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。