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2015年1月の供用開始を目指し
神奈川県横浜市の南本牧ふ頭地区。国際コンテナ戦略港湾に指定されている「京浜港」の一翼を担うこの地区では、現在水深-16mのMC-1と2のコンテナターミナルが稼動しており、連日大型のコンテナ船が着岸している様子が見られる。
輸送コストに優れるコンテナ船は大型化が著しく進んでおり、18000TEU*以上積載できる超大型コンテナ船も建造されるなど、より大水深のコンテナターミナルが必要とされる時代になってきている。
現在整備が進められているMC-3は、我が国の国際競争力強化のため2015年4月からの供用開始を目指して2007年から工事が着手された。(一部は2015年1月中旬から供用開始)
当社は、水深-20mを確保した次世代の世界基準コンテナターミナルの整備の掉尾を飾る施設整備工事を2013年12月から担当し、予定どおりこの12月に引渡しを迎える。
*TEU
twenty-foot equivalent unitの略。コンテナ船の積載能力やコンテナターミナルの貨物取扱量を示すために使われる、貨物の容量のおおよそを表す単位で、20フィートコンテナの1個分が1TEUとなる。
輻輳する工事、工期、風に立ち向かう
今回の工事の敷地は広い。その面積は158,217.44m 2、東京ドーム4個弱だ。これだけ広いと施工がやり易いと思うが、実際は正反対だ。南本牧地区では国土交通省をはじめ、横浜市、横浜港埠頭株式会社から多くの工事が出件されており、その数は16件(2014年12月時点)。当然様々な工事との調整が必要となるが、2015年1月の供用開始に間に合わせるためには、手戻りの発生は許されない。同一敷地内での他工事の進捗を考え合わせ、工程を決めていく必要があるが、作業所長の三須所長は他工区との調整を含め、トータルマネジメント力は際立っている。
「供用開始の時期が決まっている国家プロジェクトですから、工期内になんとしても完成させなければいけない、というプレッシャーは非常に感じていました」と三須所長は語る。
また、風にもずいぶん悩まされた。三須所長は「季節を問わず、午後になると風が強くなりますので、夏場は早朝から仕事に取り掛かるようにしました。軽量の部材を吊る時には、風にあおられて部材同士がぶつかって傷つく恐れもありますし、鉄骨建方時には鳶工さんの安全を考えなければいけません。工事の進捗に大きな影響がありますので気を使いました」と述懐する。
建築と土木のコラボレーション
この工事の構成は、建築と土木が約40数%ずつ、設備が約15%となっている。「メインはコンテナ関連施設の建築工事ですが、土木工事が工程や品質などで大きなウェイトを占めました」と三須所長。確かに注目するポイントは土木的なものが多い。「ガントリークレーンが国内最大サイズなので、クレーンレールも国内最大の150kgレールを使います。国内では製作していませんので、4ヶ月かけてルクセンブルグから輸入しました。」規模が大きいがゆえにレールの敷設には高い精度を求められ、誤差は2~3mm以内にしなければならない。
また、冷蔵コンテナ(リーファーコンテナ)を保管するため電気設備が必要となるが、電気配線を通すのに多孔陶管を埋設する。その延長は19.2㎞にも及ぶが、これらは完全に土木の分野であり、共同企業体で4名の土木職が配置された。「実は共同企業体のスポンサーとして工事を担当するのは初めてでしたが、各社の強みを活かせる要員配置を行うことで、チームとしてうまく運営できたと思います」と三須所長は話す。
緊張の日々が終わりに近づく
工事途中には、地中障害による建物の配置変更や各種構造の設計変更があり、当初工程どおりに進まない時期があったが、最終的には予定どおりに完成を迎えることができた。工期厳守が至上命題の現場であるがゆえ、現場の職員たちは緊張の日々が続いた。しかし、ようやく終わりが近づき現場には安堵感が漂う。
三須所長は、「国家プロジェクトの一端を担えたことに充実感があります。会社からの期待も大きかったので無事にやり遂げることができ、本音としてはホッとしています」と話す。去年の正月はプレッシャーを感じつつ過ごしたそうだが、今度の正月はゆっくりできそうと笑顔を見せてくれた。やはりモノ造りの現場での達成感は、大きいものがあるに違いない。
工事名称 | (南本牧)MC-3号コンテナターミナル設備等整備工事 | ||
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工事場所 | 神奈川県横浜市中区南本牧 7番地 | ||
工期 | 2013(平成25)年12月4日~2014(平成26)年12月19日 | ||
発注者 | 横浜港埠頭株式会社 | ||
施計者 | パシフィックコンサルタンツ株式会社 | ||
施工者 | 東洋・加藤・あおみ建設企業体 | ||
工事概要 | 建設関連工事 | ||