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海底設置型フラップゲート式水門初号機の工場製作が完了 ~岩手県の復興・防災に貢献~

 日立造船株式会社(大阪府大阪市、谷所 敬社長、以下、日立造船)は、このほど、2017年に岩手県(達増 拓也知事)より受注した大船渡漁港海岸高潮対策(細浦地区水門その2)工事向け海底設置型フラップゲート式水門の工場製作を完了させました。
 海底設置型フラップゲート式水門は、東洋建設株式会社(東京都千代田区、武澤 恭司社長)と五洋建設株式会社(東京都文京区、清水 琢三社長)との共同開発製品であり、本設備はその初号機となります。

 

工場完成時の写真(※扉体寸法:純径間32.0m×有効高13.0m)

 

 海底設置型フラップゲート式水門は、海底に設置した扉体を、浮力を利用して起立させることで連続した水門・防波堤などを形成する可動式の構造物です。海に設置される水門設備としては日本初の海底設置型であり、港湾・漁港・河川などにかかわる関係者から大きな注目を集めています。従来の水門設備は、海上・河川上に設けられるため、扉体の純径間を伸ばすことや大型化には限界がありましたが、本設備は海底に設置するため、扉体の設置枚数を増やすことで長径間のエリアを守ることが可能です。

 

【本設備のその他の特長】

①海底に倒伏した状態で函体に格納されており、津波・高潮発生時には扉体先端に取り付けられた係留フックを解除することで、自動的に水面まで浮上する。

②海底に設置されているため景観に優れ、船舶などの航行が可能。

③扉体の空気量を把握することで、扉体の状態監視が可能。また、扉体に空気が入っていることで扉体が常に揺れ動くため、扉体の固着防止につながる。

 

設置例:一般的なローラゲート

設置例:海底設置型フラップゲート式水門

 

 本設備は、2011年3月に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた大船渡漁港およびその周辺地域の防災対策として岩手県が発注したもので、日立造船が2017年10月に受注し、設計・製作を進めてきました。今後の工程としては、2019年11月中旬に日立造船堺工場(大阪府堺市)を出渠し、海上輸送で12月初旬にかけて現地に到着する予定であり、2020年3月末の据付完了を計画しております。

 

完成予想図:扉体倒伏時

完成予想図:扉体起立時