フィリピンで河川改修事業を着工しました

 東洋建設株式会社(社長 武澤恭司)は、フィリピン共和国において、同国公共事業道路省が発注するパシグ・マリキナ川河川改修事業(フェーズⅢ)パシグ川工区(東洋・清水共同企業体)及びマリキナ川下流工区(当社単独)の2工事を受注し、2014年6月及び7月にそれぞれ着工しました。受注金額は総額約125億円(うち、当社受注金額約93億円。パシグ川工区JV総額65億円、マリキナ川工区60億円)で、パシグ・マリキナ川河川改修工事(フェーズⅡ)に続く受注となりました。同工事は日本政府開発援助(ODA)の有償資金協力(円借款)のうち、本邦技術活用条件(STEP)として実施されます。

 

 マニラ首都圏の中でも特に都市化が進んだ地域を貫流しているパシグ・マリキナ川の洪水被害は、同地域に深刻な経済的、社会的影響を及ぼしてきました。同河川の洪水被害を軽減すること並びに河川沿いの環境を改善することを目的とした同事業は、インフラ整備のなかでも特に社会的貢献度の高い事業であり、同地域の安定的な経済発展に寄与する事が期待されています。

 今回受注したフェーズⅢでは、パシグ川工区(16.4km)でマニラ湾河口部のデルパン橋からナピンダン洪水調整ゲートまでの護岸建設・改修を、マリキナ川下流工区(5.4km)でナピンダン洪水調整ゲートからマンガハン放水路下流までの浚渫・堤防建設・護岸改修を行います。

 当工事の施工にあたっては、マニラ首都圏に多く見られる中硬岩地盤への鋼矢板打設時の振動・騒音を最小化し工期を短縮する事が可能な「ウォータージェット併用バイブロ工法」や護岸構造の断面性能を高めるH型鋼を結合したハット型矢板を採用するほか、浚渫土にセメントを混合し、高含水比の浚渫土を再利用可能な状態までに改良する「事前混合固化処理工法」を取り入れるなど日本の高い技術力が活用されることになります。

 

 当社は、自然災害が多い国の一つであるフィリピン国に1973年に進出して以来、様々な事業に参画し、大規模な河川工事分野では、アグノ川流域緊急復旧工事(ルソン島中部)、オルモック市洪水対策工事(レイテ島)、ラオアグ川治水・防砂工事(ルソン島北部)等の実績を着実に積上げてまいりました。

 今後もインフラ整備事業を始めとする様々な事業に参画し、当社の保有する技術をフィリピン国で展開することで、同国の社会・経済発展に寄与してまいります。

<工事概要>工事概要

 

<現場位置図>現場位置図

 

<完成イメージ>写真1 写真2

 

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深層混合処理船「DCM6号船」に省エネ設備を導入しました

 東洋建設株式会社(代表取締役社長 武澤恭司)と株式会社竹中土木(取締役社長 竹中康一)とで共有する深層混合処理船「DCM6号船」は、この度一般社団法人環境共創イニシアチブが公募するエネルギー合理化事業者支援事業に採択され、環境に配慮した省エネルギー設備を導入しました。

 エネルギー合理化事業者支援事業とは「技術の先端性」、「省エネルギー効果」、「費用対効果」を踏まえて制作的意義が高いと認められる省エネルギー設備の導入に対して支援されるもので、「作業船」としては初めて採択されました。

DCM6号船 全景写真

【環境対応型 深層混合処理船「DCM6号船」】

 

回生電力システム(下図参照)

深層混合処理機昇降ウインチの駆動部をインバータ制御の電動モータにしました。処理機降下時に昇降ウインチの回転により発電した電気は、主配電盤へ回生することができ、発電機の出力が低減できます。

 

深層混合処理機の駆動システム

深層混合処理機の駆動方式を油圧から電動に改造しました。発電機から処理機駆動へのエネルギー伝達媒体が電気のみのため、伝達効率が向上します。※1

 

※1 省エネ化設備導入後は、エネルギー伝達媒体が電気のみになります。エネルギー伝達媒体の変換効率と伝達機器の流体的効率が無くなること、および伝達機器が削減されるため、エネルギー伝達効率が向上します。

 

発電機運転管理システム

4台の発電機が同期することと、回生エネルギーを利用する運転管理システムを構築しました。本システムは、負荷分担装置によって各発電機の定格出力に応じた出力制御を行うとともに、作業負荷に応じて最適な台数の発電機を運転させることができます。

 

各制御盤間ネットワーク構築による総合管理

各制御盤間を光ファイバーケーブルで接続してネットワークを構築しました。各機器を総合管理(機器の運転停止をリアルタイムに実施)することにより消費電力が削減できるため、省エネルギー効果につながります。

 

LED投光器

船上の作業照明に当社の作業船として初めてLED投光器を採用しました。LED投光器は、同程度の光度を持つ従来の水銀灯に比べて使用電力が約1/4となります。

 

回生電力システム概要図

 作業船を使用する海上工事では、燃料使用量が多くなるため省エネ設備を導入することによりCO2排出量削減につながります。当社はこれからも地球環境に配慮し、低炭素社会の実現のために技術開発や設備の更新に取り組んでまいります。

 

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ユニット式吊足場「フレキシブル・シー・ステージ(Flexible Sea Stage)」を開発しました

 東洋建設株式会社(代表取締役社長 武澤恭司)は、港湾施設等の維持補修・更新を支援するユニット式吊足場「フレキシブル・シー・ステージ(Flexible Sea Stage:以下「FSS」)」を開発いたしました。

 

 従来、桟橋下や護岸前面で調査点検・維持補修作業を行う際は、単管や足場板を組合せて吊足場を設置することが一般的でした。しかし、設置・撤去に日数を要するため、供用中の港湾施設では船舶着岸スケジュールとの調整と作業期間の確保に課題がありました。

 

 そこで当社では、これらの課題を解決し港湾施設での荷役作業などへの影響を低減するために、設置撤去が迅速に行える吊足場のユニット化の開発を進めてまいりました。

 今回開発したFSSは、アルミ製のブロックを連結させて作業スペースを構築するものです。設置方法は、ブロック・連結材・手摺り及び固定治具等で構成する足場ユニット(図-1)を陸上で組立て、次に水上に降ろし所定の位置に移動し、吊り治具と固定治具により吊上げ、固定します(図-2)。

 この方法により吊足場の設置撤去時間を削減できることに加え、海上での組立作業を減らすことにより、安全性を向上させました。

*特許出願中(特願2014-115796)

 

 高度成長期に集中的に整備された港湾施設が建設後50年を迎え、今後調査点検・維持補修・更新作業は著しく増加することが見込まれます。当社としましては、今回開発したFSSを活用し、積極的に港湾施設等の維持管理に取り組んでまいります。

 

<従来工法との比較>

※設置・撤去時間は、1ブロック=幅5.0m×長さ18.0mでの試算

 

図-1 足場ユニット構成(1ユニット:長さ9.0m×幅2.5m、重量約2.5t)

図-2 桟橋下への設置イメージ

 

 

 

                         問合せ先
      東洋建設株式会社
      経営管理本部経営企画部広報課 北村 健
      電話 03-6361-5461
      (技術に関するお問い合わせ先)
      土木事業本部技術営業部 横山 浩司
      電話 03-6361-5462

 

 

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