国交省令和4年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(先導事業者型)の取り組みとして
建設現場における進捗管理効率化に自律飛行型ドローンを活用する実証実験を実施

 東洋建設株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 武澤 恭司)は、株式会社センシンロボティクス(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長 北村 卓也)と連携して遠隔工事監理手法(進捗管理効率化)に自律飛行型ドローンを活用する実証実験を行いました。
 本実証実験は、東洋建設が国土交通省により採択された「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(先導事業者型)の取組みとして、建設現場における進捗管理の効率化を図るため、施工BIMモデルと自律飛行型ドローンを活用した新しい工事監理手法の効果検証を行うために実施したもので、検証の結果、当初想定していた効果を確認できました。

 

Skydio Dock

自律飛行するドローン

 

 実証実験は、Skydio機専用のドローン基地「Skydio Dock」を使った自動飛行ルートの作成およびクラウドプラットフォームを経由した自律飛行を行いました。

 Skydio機は、Visual-SLAM*という技術を搭載し、GNSS(全球測位衛星システム)の電波が届かない屋内でも自己位置推定を行うことができるため、施工中の天井からぶら下がる配線などの障害物もAI処理しながら自動回避して飛行できます。また、遠隔地からでも離陸ボタンを押すだけで自律飛行できるほか、階段などの狭い通路も自律的に飛行を行い、元のDockの位置まで自動帰着できるとともに自動充電も可能な自律飛行型ドローンです。

 最初に、PC画面上で専用アプリケーションを起動し、現地操縦者がドローンを飛行させて飛行ルートと撮影するポイントを指定して飛行プランを作成します。次にその飛行プランに沿って、Skydio Dockからドローンを自動離陸させ、飛行ルートの動画撮影と設定ポイントでの静止画撮影を行いました。

 実証実験の結果、施工現場特有の低照度環境や夜間の飛行、障害物回避や複数階移動についても問題なく実施できることが確認でき、各部屋の施工状況確認に必要な画像データの取得も成功しました。

 

Visual-SLAM*:visual Simultaneous Localization and Mapping(カメラ画像を中心とした自己位置推定と環境地図作成技術)

 

遠隔地(東洋建設本社)からの操縦

Skydio2操作画面

複数階の移動

Skydio2による天井部の撮影

BIMモデル

BIMモデルと同位置の施工状況

 

 また、ドローンで取得した画像データを、クラウドプラットフォーム上で共有されているBIMモデル上に設定されたポイントデータとリンクさせることで、撮影した画像データを確認できるシステムを開発しました。

 両社は、将来的にBIMを活用した画像データの効果的な管理・共有システムの構築を行い、工事監理/管理業務に係る作業時間の削減を目指してまいります。

 

■実証実験概要

実施日:2022年11月25日、2022年12月19日

場 所:(仮称)東京情報デザイン専門大学新設工事(江戸川区小松川)

内 容:1. Skydio Dock (ドローン基地)を用いた遠隔地からの自動飛行

  1. 建設現場環境での自動飛行
  2. 取得データによる施工管理への活用

 

PDFはこちらでご覧いただけます

https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/20230126-1.pdf

 

問い合わせ先

東洋建設株式会社

建築事業本部設計部

電話 03-6361-5468

「海上工事デジタルツインシステム」を開発しました

 東洋建設株式会社(代表取締役社長 武澤恭司)は、作業船位置や石材検収情報、気象情報などをリアルタイムに仮想空間上のBIM/CIMモデルに反映・表示する「海上工事デジタルツイン*1システム」を開発しました。

 

 本システムは、現場において収集されるリアルタイムデータをBIM/CIMモデルに一元表示させるとともに、ICTツールとの連携が可能なシステムです。この度、国土交通省中部地方整備局発注の「名古屋港新土砂処分場埋立護岸基礎工事」で試験運用し、実用化しました。

 

デジタルツインシステム画面

 

 沖合における海上工事は、一般的に港付近の広大な海域が作業区域となり、作業船の配船状況を俯瞰して見られる場所はありません。そのため、現場担当者が各船舶に乗り、電話や無線連絡、複数のICTシステムを使用した人的な監視によって統合管理しています。本システムは、仮想空間に港湾工事状況を再現しリアルタイムに情報を集約表示させるため、理解しやすく直感的に扱うことができるので、的確な施工管理を行うことが可能となります。今後、多種多様なICTシステムから得られる情報にも対応し、機能を拡張していく予定です。

 また、ガット船*2による石材投入前に実施する数量検収作業では、複数人により検尺ロッドや測量ポールを使用して写真撮影や計算を行う必要があり、データ反映までに手間と時間を要するなど課題がありました。本システムでは、AR画像技術を応用した体積自動計算アプリである「ガット船測りマス(株式会社エム・ソフト)」からクラウドにアップロードされた検収データを、デジタルツインシステム内に表示させるとともに管理表に自動出力します。これによりデータ入力手間がなくなったほか、クラウド経由でデータ共有を行えるため、現場事務所や支店など遠隔地でのBIM/CIMによるリアルタイムデータ管理が可能となりました。

 

「ガット船測りマス」による石材検収

海上工事デジタルツインシステムの概要

 

 当社では、綿密な施工計画作成のためのBIM/CIMによる施工シミュレーション技術(Toyo Virtual Construction)と、施工現場での生産性向上を目的としたICT技術を拡充してまいりました。「海上工事デジタルツインシステム」においても、BIM/CIMとICT技術をつなげることにより、施工管理の省力化が実現しました。当社はこれからも施工計画から施工現場管理への総合的なDX推進を図り、施工技術及び生産性の向上を図ってまいります。

 

デジタルツイン*1:現実空間から収集したデータを仮想空間上に再現する技術

ガット船*2:石材等を輸送,海中に投入する作業船舶

 

PDFはこちらでご覧いただけます

https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/05/20230118.pdf

 

問い合わせ先

東洋建設株式会社

土木事業本部土木技術部

電話 03-6361-5464

美浦研究所施設を一般公開しました

 2022年12月3日、東洋建設は茨城県の美浦村と共同で当社の研究施設である「美浦研究所(茨城県稲敷郡美浦村)」を公開しました。コロナ禍ということもあり、美浦村の小学生と保護者の方8名の参加でしたが、例年とは違い親子一緒に体験することができたり、また職員も一家族に数人付き添うことができ、和やかな雰囲気での開催となりました。

 最初に土木事業本部 藤原顧問の開会の挨拶があり、美浦研究所 末岡所長によるイベント概要の説明ののち見学・体験を行いました。

 

製作体験『来て、見て、さわって』くらしをささえる便利なコンクリートを知ろう

 コンクリートをハンドスコップで実際にこねてもらい、増粘材を入れる前と入れた後の違いを体験してもらいました。増粘材を入れたコンクリートは粘り気を増し、水が汚れず環境にやさしいコンクリートであることをご理解いただきました。

みんなでコンクリートの練り混ぜ体験

2種類のコンクリートは水槽でどうなるのかな?

 

 続いて、例年大好評のキャラクター人形づくり体験です。好きなキャラクターの型枠を子供たちが選び、思い思いの着色材を混ぜ合わせたコンクリートを流しこみました。参加者は、どのような仕上がりになるのか楽しみにしている様子でした。

コンクリートに着色材を入れてどんな色にしようかな?

コンクリートをキャラクターの型枠に流し込み中

 

力くらべ体験『これで君も地震博士』地震に強い建物を知ろう

 地震のおこり方やその特徴、地震に強い建物のしくみの説明を受けたあと、アルミフレーム模型との綱引き体験をしてもらい、補強なしと筋交い補強および障子補強の3種類の違いについてどんな構造が地震に強いか学んでいただきました。

 また、「紙ぶるる」という建物の耐震と耐震補強を学ぶことのできる紙工作を体験しました。自分で紙をぶるぶると揺らすことで、筋交いの有無により建物の揺れの違いを実感してもらいました。

地震に強い建物のしくみの説明に耳を傾けている様子

「大人も手伝ってよ!」と言いながら綱を引く子供たち

紙ぶるるの家づくりに真剣に取り組んでいます

ここを折って、ここを貼って、これでいいのかな?

技術体験『環境にやさしい光の科学』LEDでいろんな色をつくってみよう

 環境にやさしいLED電気を使って「光る箱」をつくることで、光の仕組みを学びました。細かい作業に苦戦しながらもきれいにLEDを光らすことができ喜んでいました。

LEDの光る箱づくり製作中

どっちの色がきれいだと思う?

集合写真

 

  最後に閉会の挨拶として、美浦村生涯学習課の青木和城様よりお礼のご挨拶をいただき、終了となりました。 後日、参加された方からのアンケートでは、「コンクリートのキャラクターづくりが楽しかった」や「作成したLEDをクリスマスツリーに使用したい」などの感想がよせられ、来年に通じる大好評なイベントとなりました。

 当社では、今後ともこのようなイベントを通じて、研究所や建設業が果たす社会的な役割や重要性などを地域の方々に理解していただけるように努めてまいります。